「Karl Lagerfeld」
なにげなくstainway & sonsのウェブサイトを覗きに行くと同社の創業150周年記念Karl Lagerfeldモデルがありました。世界限定150台だそうで、もちろん完売の模様。カールが興味を持つ日本の美の意匠が調えてあります。その美しく控えめで艶やかな漆器のようなテイストのピアノ。どのような音を奏でるのか聞いてみたいではありませんか。いやその前にその姿かたちを一目見たいものだという衝動に駆られずにいられません。そんなピアノ、自ら積極的にではなければ、見ることも耳にすることもないだろうと思います。
それにしても「スタインウェイですか?」と良くホールの関係者には聞くのですが、これはどこか神話のような部分があります。神話の生成こそ実はブランディングそのものといえます。そういう意味で、すでにブランディングとして成功しているスタインウェイピアノ、さらに新しい神話作りに挑みます。それがKarl Lagerfeldのコラボの戦略なのでしょう。
1853年にNYで設立されたスタインウェイ、その沿革を追っていくときに見事なブランディングの道筋を見る思いがします。どちらかというと保守的に陥りがちな商品性に、常に未来を見据えた姿をそこに感じさせます。老舗が陥りがちな失策には無縁です。ブランディングの最善のものは、昭和年間の「三越」のように、いわゆる商業上無関係な第三者に「あのブランドが良いわよ。」といわせるものです。それはPRやアドバタイジングではなく、まあ最近は「口コミ」とか「ブロガーに」とかネットのリスティングなどは、なんとなく似てはいますが、全く異なるものです。
ところでカールは何歳なのでしょうか?ファッションデザイナーとしての偉業は華々しいばかりか、写真家としての評価も素晴らしいものです。カメラを構えた彼の姿(写真)はよく目にするもの。それにしてもその指輪はいったい・・・。ドンペリニオンの広告の写真もカールの作品なのは有名なところ。
わたしたちはクロエ時代の彼の作品を良く見ましたが、シャネルを甦らした力には恐れ入ります。ということで調べてみたら1938年生まれ、とまりオントシ71歳。「感性は年齢と共に枯れる、新しいアイデアやデザインに関するものは女性や若い者を登用しなさい」とよく企業の中でささやかれる経営陣の言葉、それは間違っているのではないかという疑問に突き当たります。スタインウェイのブランディングとカール・ラガーフェルド歴史の中から紡ぎだされる革新性に、なにか大きな教訓を見出すような思いがします。
No.010 09/03/17
Creative Director 山田 徹 Yamada Tetsu 株式会社グローブコンペティション代表取締役
最近(2008年4月)事務所を郊外に移転しました。そこは趣味のラリーマシン製造のために田舎に所有していた鎮守の森の前にある自動車工場を大改造して制作。本来デザイナーの腕としては自信がある?ものの今回は「原則として廃材や貰い物で、作る。図面は引かない!行き当たりばったりで作る」というコンセプト。友人の世界的建築家の有馬裕之氏も「・・・・」と大納得?の新オフィスで、いまだ未完成の部分をどうしようかと悩んでいるようです。その有馬氏は、ここにリエゾンオフィスを置こうかと思案中とのこと。特に表に向けて閉鎖的、裏に向けて開放的!!?な事務所。来る人を阻み、来た人を快適に、が特徴だそう。
1階はベランダ部分が主な打ち合わせスペースですが、目の前はすぐ鬱蒼とした森。ベランダからはすぐに小径があり、鎮守の森の散歩が出来ます。またこの森は特に小鳥が多く、午前中は素晴らしい鳥の鳴き声で至福の時間が得られます。椅子は本人がコレクターだというだけあって、ものすごくたくさんあります。今度はデザイナーや建築家と林業関係者らとのコラボレーションで「木の椅子」を展開するプロジェクトも進んでいます。さらにはツリーハウス・プロジェクトは、都市と中山間の交流促進と、ただの遊び場ほしさの提案が進んでいます。さらに四国八十八カ所にならった?小さな山の中のトレイルを作ろうと考えているようです。
基本的には読書が趣味ですが、1年のうちの半分近くを旅と読書で過ごしています。クリエイティヴディレクター、コピーライター。時々イラストも描きます。環境問題は25年前から積極的だったのですが「最近はヒステリックな温暖化原理主義はいかがか?」と思案中。環境に特化した地域のフリーマガジンを計画中!なのですが、「環境問題はなにが問題なのか」みたいな切り口ではじめたいらしいので、しばらくしたらこのウェブサイトでも事後報告が出来るかもしれません。どうぞこれからもよろしくお願いします。
09/03/03
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